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鳥取地方裁判所 平成2年(行ウ)1号 判決 1990年4月19日

鳥取県気高郡気高町浜村一〇-一

原告

鈴木良吉

鳥取市東町二丁目三〇八

被告

鳥取税務署長

河本三郎

右指定代理人

見越正秋

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

一  原告は、「昭和六三年一二月改正前所得税法九条一項一一号のイとホは、一般法と特別法の関係にあるから、右イとホの両方に該当するときは、特別法たるホが適用さるべきところ、被告が平成元年九月一八日付けでなした原告に対する昭和六二年分及び同六三年分の各更正処分において右ホでなくイを適用しているのは法律解釈を誤ったものである。」との判決を求める旨述べ、これに対し被告は、主文同旨の判決を求め、別添答弁書の申立て理由のとおり述べた。

二  そこで判断するに、本件において、原告は、自己に対する課税処分の取消を求めるのではなく、単に適用される法律の解釈の判断を求めているのみである。

ところで、現行の制度上裁判所に与えられているのは司法権を行使する権限であり、裁判所が司法権を発動するためには具体的な争訟事件が提起されることを必要とする(最高裁判所昭和二七年一〇月八日民集六巻九号七八三頁)。すなわち、裁判所へ民事訴訟もしくは行政訴訟を提起するには、原告は、その請求として、自己の生活関係上の紛争における具体的主張を明確にして、その当否についての審判を求めなければならず、単に法令の効力や解釈の確定だけを求めることは許されないといわなければならない。

従って、本件訴訟は不適法として却下すべきであるから、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 前川豪志 裁判官 能勢顯男 裁判官 村田文也)

平成二年(行ウ)第一号

原告 鈴木良吉

被告 鳥取税署長

平成二年三月九日

被告指定代理人

〒七三〇 広島市中区上八丁堀六番三〇号 広島法務局訟務部

部付 見越正秋

訟務官 下畠康宏

〒六八〇 鳥取市東町二丁目三〇二番地 鳥取地方法務局訟務部門

上席訟務官 山口光男

訟務官 中野裕道

訟務官 丸山永

〒七三〇 広島市中区上八丁堀六番三〇号 広島国税局直税部

国税訟務官 宮本直文

国税実査官 河田俊夫

国税実査官 木村守孝

鳥取地方裁判所民事部 御中

答弁書

本案前の申立

第一 申立ての趣旨

原告の請求をいずれも却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

第二 申立ての理由

本件訴えは次のとおり不適法であって却下を免れない。

一 本件訴状は、その述べるところが、文章首尾一貫せず、到底その真意を捕捉することができないもので意味不明である。このような請求の趣旨が全く特定できない訴えは、民事訴訟法二二四状一項に違反し、且つ、その欠陥を補正することができないものと認められる。

二 仮に、原告が、被告が平成元年九月一八日付けでなした原告に対する昭和六二年分及び昭和六三年分所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下これらを併せて「本件各処分」という)の取消を求めているとした場合、本件各処分の経緯は別表一及び二のとおりであり、原告の本訴請求は、国税通則法七五条二項所定の異議申立て及び同条三項所定の審査請求を経由していないから同法一一五条に違反する。

なお、右異議申立てに対する決定は、平成二年二月一日付けでなされ、同月二日に配達受領されている。

第三 添付書類

指定書 三通

別表一

課税処分等経過表(昭和六二年分)

<省略>

別表二

課税処分等経過表(昭和六三年分)

<省略>

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